海外まき網漁業ってどんな漁業?
海外まき網漁業では、日本の港を出港してから船で約1週間の距離にある中西部太平洋の漁場にて、かつおを主な対象魚種として、まき網の周年操業を行っています。
鳥レーダー、ソナー、魚群探知機といった漁撈機器を利用した魚群探索。または、双眼鏡やヘリコプターによる目視などの魚群探索によって魚群を発見し、船に積んである漁網を投入することによって、魚群を巻き込む漁法です。
漁船に搭載した3,4隻の小型ボートを補助として利用し、各ボートとの連携が必要不可欠な、チームワークで魚を捕る漁業です。
船の大きさの目安としましては、魚(かつお)を700トン~1100トン積めるような大型の漁船が使用されます。25人~30人の船員が乗船しており、1回の操業で漁獲される魚は0トン~200トン程になります。捕られた魚は船内でブライン凍結(冷凍保存)され、満船になると日本の港に帰ってきて水揚げされます。日本で稼働している海外まき網船は全国で28隻あり、そのうちの4隻が福一漁業所属船となります。
海外まき網漁業の基地
海外まき網漁業では、焼津港・枕崎港・山川港の3つの港で漁獲物の水揚げを行っています。この3つの港のいずれかから船は出港し、太平洋中西部海域の漁場で魚を漁獲し、再び3つの港のいずれかに帰ってきて水揚げを行っています。
どこで魚を獲ってくるの?
日本の港を出港してから船で約1週間、太平洋中西部海域にある島嶼国の200海里水域(岸から約370kmの排他的経済水域)の中で漁業を行います。
↓下記イラストの緑で囲われた場所が漁場です。
1航海のスケジュール
ここまでを1航海とカウントし、年間7航海~8航海ほどの航海をこなす周年操業をしています。このサイクルとは別に定期的に(弊社では約15ヶ月周期)大規模修繕(ドライドック)を行い30日~50日間程度かけて船の集中メンテナンスを行います。この間、乗組員は長期で休暇をとることになります。
航海中の乗組員のとある1日のスケジュール
まき網漁業の一連の流れ
①探索(たんさく)
双眼鏡を利用した目視での魚群探索に加え、鳥レーダー・スキャニングソナー・魚群探知機といった電子機器も利用して魚群を探索します。海外まき網漁業では探索は日中に行われ、夜間に探索をすることはありません。
※弊社所有の第83福一丸は日本のまき網船では珍しいヘリコプター搭載型の船です。ヘリコプターでは上空から目視によって、広範囲を効率的に魚群探索することができます。太平洋で操業する日本の海外まき網船28隻のうち4隻のみがヘリコプター搭載型の大型まき網船になります(平成30年現在)
②投網(とうもう)
所要時間7~8分
魚群を発見したら、その魚群を囲むように網を投網します。本船の後ろ側に搭載しているボート(一号艇)が網の端を持ち、本船が全速力で魚群を囲むようにして積んである網を円を描くように落としていきます。よく勘違いされるのは一号艇が網を引っ張って魚群をまきこむと思われることが多いようですがあくまでも一号艇は網の端を保持する役目を担っており、魚群を取り囲むのは本船の役割になります。本船の何倍ものスピードで動き回る魚群を巻き込むことは非常に難しく、なにも巻き込めず失敗することも珍しくありません。この網を入れたときに魚が網の中に入る成功率の高い船頭が腕の良い船頭といわれる要素の1つです。
③環巻き(かんまき)~ 揚網(ようもう)
所要時間 環巻き20~30分 揚網2~3時間
魚群を巻き込むことに成功したら、網の底にある環(おもりのようなもの)を巻き込みます。これを環巻きといいます。環巻きが終了するまでは魚群が網の底から逃げてしまう可能性があるので急いで環巻きを終了させます。この時点で魚群の逃げ場はすべて封鎖されて、無くなります。環巻きの次は網を絞っていく揚網作業です。魚を本船に取り込むために網を小さく絞っていきます。
④取込準備
所要時間 20~30分
揚網がおわると、次は取込準備です。揚網が終わった時点で、すでに網は挟まり見た目上は生簀状態になっていますが、この時点では、底の深い生簀状態であり、本船からのタモで魚をすくうことができません。タモで魚をすくいやすくするために、底の浅い生簀状態にしていきます。
⑤取り込み
所要時間 漁獲量によってまちまち 約3トン/分
取り込み準備によって、底の浅い生簀状態となったところに、本船からタモをいれ、船の上に魚を汲み上げます。汲み上げられた魚は船のデッキ上にあいているハッチ(甲板上にあいている魚取り込み口の穴)に投入され、ハッチからつながった樋(トイ・・・ハッチと魚倉を繋ぐ、レールのようなもの)の上をすべって、各魚倉へ送られます。
⑥凍結
魚倉にはマイナス18℃ほどの濃度の高い食塩水(ブライン)が張られています。ここに樋をつたってきた魚が投入され、一気に凍結されます。以前は、魚倉に大量の魚が投入されるとブラインの温度が魚の体温によって一時的に上昇し、急速凍結になりにくい状況が発生することがありましたが、近年では、冷凍技術の発達や冷凍能力の大型化により、以前に比し、より魚の鮮度がよい状態で凍結することができるようになりました。
まき網漁業の一連の流れ
①探索(たんさく)
双眼鏡を利用した目視での魚群探索に加え、鳥レーダー・スキャニングソナー・魚群探知機といった電子機器も利用して魚群を探索します。海外まき網漁業では探索は日中に行われ、夜間に探索をすることはありません。
※弊社所有の第83福一丸は日本のまき網船では珍しいヘリコプター搭載型の船です。ヘリコプターでは上空から目視によって、広範囲を効率的に魚群探索することができます。太平洋で操業する日本の海外まき網船28隻のうち4隻のみがヘリコプター搭載型の大型まき網船になります(平成30年現在)
②投網(とうもう)
所要時間7~8分
魚群を発見したら、その魚群を囲むように網を投網します。本船の後ろ側に搭載しているボート(一号艇)が網の端を持ち、本船が全速力で魚群を囲むようにして積んである網を円を描くように落としていきます。よく勘違いされるのは一号艇が網を引っ張って魚群をまきこむと思われることが多いようですがあくまでも一号艇は網の端を保持する役目を担っており、魚群を取り囲むのは本船の役割になります。本船の何倍ものスピードで動き回る魚群を巻き込むことは非常に難しく、なにも巻き込めず失敗することも珍しくありません。この網を入れたときに魚が網の中に入る成功率の高い船頭が腕の良い船頭といわれる要素の1つです。
③環巻き(かんまき)~ 揚網(ようもう)
所要時間 環巻き20~30分 揚網2~3時間
魚群を巻き込むことに成功したら、網の底にある環(おもりのようなもの)を巻き込みます。これを環巻きといいます。環巻きが終了するまでは魚群が網の底から逃げてしまう可能性があるので急いで環巻きを終了させます。この時点で魚群の逃げ場はすべて封鎖されて、無くなります。環巻きの次は網を絞っていく揚網作業です。魚を本船に取り込むために網を小さく絞っていきます。
④取込準備
所要時間 20~30分
揚網がおわると、次は取込準備です。揚網が終わった時点で、すでに網は挟まり見た目上は生簀状態になっていますが、この時点では、底の深い生簀状態であり、本船からのタモで魚をすくうことができません。タモで魚をすくいやすくするために、底の浅い生簀状態にしていきます。
⑤取り込み
所要時間 漁獲量によってまちまち 約3トン/分
取り込み準備によって、底の浅い生簀状態となったところに、本船からタモをいれ、船の上に魚を汲み上げます。汲み上げられた魚は船のデッキ上にあいているハッチ(甲板上にあいている魚取り込み口の穴)に投入され、ハッチからつながった樋(トイ・・・ハッチと魚倉を繋ぐ、レールのようなもの)の上をすべって、各魚倉へ送られます。
⑥凍結
魚倉にはマイナス18℃ほどの濃度の高い食塩水(ブライン)が張られています。ここに樋をつたってきた魚が投入され、一気に凍結されます。以前は、魚倉に大量の魚が投入されるとブラインの温度が魚の体温によって一時的に上昇し、急速凍結になりにくい状況が発生することがありましたが、近年では、冷凍技術の発達や冷凍能力の大型化により、以前に比し、より魚の鮮度がよい状態で凍結することができるようになりました。
まき網漁業2つの操業方法
素群れ操業
海外まき網漁業では操業の大部分が素群れ操業です。カツオ最高時速60km-100km(諸説あり) 海まき船 最高時速 25km程度。この早いスピードで上下左右前後すべての方向に動きまわる(急に方向転換する)魚の動きを予測して、船を走らせ網をいれます。想像しただけで難しそうだと思いませんか。もちろん失敗も多いです。この網を入れたときに魚が網の中に入る成功率の高い船頭が腕の良い船頭といわれる要素の1つです。かつおの群れは大きいものだと200トンを越えるような群れで固まって泳いでいることもあります。1kg200円(2017年)で売れるとして、1網200円×200トン=4000万円の漁を行う事だってあります。これが成功するか失敗するか船頭の腕次第ということです。船頭の腕次第で乗組員の収入に大きく響きますから責任重大です。
流木操業の様子
流木操業は、海面に浮いている流木(自然の流木、ゴミ、人工筏 等)に魚が寄ってくる習性を利用して網をいれる操業形態です。ある程度動かない群れを対象に操業しますので成功率が高い反面、素群れに比し、魚群が小さいことが多く、また、対象魚種以外の魚の混獲が多い操業といわれているため、年間に操業できる回数が国際ルールで制限されています。
海外まき網の船ってどんな船?
弊社、福一漁業では海外まき網船を4隻所有しております。船舶紹介については こちらをご覧ください。
船に乗っている人ってどんな人?
海外まき網船では人数の少ない船で20人ほど、多い船で30人ほどの乗組員が働いています。日本国籍の乗組員が約6割程度の船が多く、残りの外国人船員として、インドネシア人・フィリピン人・キリバス人・ミクロネシア人等が乗船しています。中でも、キリバス人・ミクロネシア人のような太平洋中西部海域の海外まき網漁業の漁場がある国籍の乗組員を複数人乗船させることが、その国の200海里水域で操業をするための条件となるため、海外まき網船には、どの船にも必ず島国出身の人間が3人以上、乗船しています。(2018年現在)
乗組員の年齢構成としては、遠洋漁業の中では比較的若者の参入が多い漁業種です。20歳あたり~65歳あたりまで幅広い年齢の乗組員が乗船しています。
下記は弊社所有船 第八十三福一丸の2018年時点での国籍割合と年齢構成比です。
また、海外まき網のような大型の船を運行するためには、海技免状という資格を所持した乗組員を複数人乗船させることが国内法で義務付けられています。乗船させなければならない海技免状の種類と人数は、『総トン数』・『航行区域』・『エンジンの馬力』の3つの要素から決まります。
海技免状の種類によって就くことができる船舶職員としてのキャリアが変わってきます。
海外まき網漁業の場合は下記の「船舶職員」の乗船が義務付けられています。
【役職名】 | 【必要資格】 |
船長 | 3級(航海)以上+1海特以上 |
一等航海士 | 4級(航海)以上+1海特以上 |
二等航海士 | 5級(航海)以上+1海特以上 |
機関長 | 3級(機関)以上 |
一等機関士 | 4級(機関)以上 |
二等機関士 | 5級(機関)以上 |
通信長 | 3級(電子通信)以上 |
「船舶職員、海技士」について詳しくは こちら をご覧ください。
弊社所有船の乗船実績
第八十三福一丸の乗組員の海技免状およびその他の資格の実際の所持状況は下記のようになっております。(2018年現在)
職名 | 年齢 | 国籍 | 海技免状 | その他の資格 | |
漁撈長 | 漁撈長 | 58 | 日本 | 3級(航海) | 1海特 1級小型船舶 |
甲板部 | 船長 | 44 | 日本 | 3級(航海) | 1海特 1級小型船舶 |
一等航海士 | 37 | 日本 | 3級(航海) | 1海特 1級小型船舶 3級(電子) ダイビング | |
二等航海士 | 32 | 日本 | 3級(航海) | 1海特 1級小型船舶 | |
三等航海士 | 42 | 日本 | 4級(航海) | ||
魚見 | 55 | 日本 | 3級(航海) | 3級(電子) | |
甲板員 | 26 | 日本 | なし | 3海特 1級小型船舶 | |
甲板員 | 25 | 日本 | なし | 3海特 1級小型船舶 | |
甲板員 | 34 | インドネシア | なし | ||
甲板員 | 32 | インドネシア | なし | ||
甲板員 | 24 | インドネシア | なし | ||
甲板員 | 24 | インドネシア | なし | ||
甲板員 | 30 | キリバス | なし | ||
甲板員 | 29 | キリバス | なし | ||
機関部 | 機関長 | 53 | 日本 | 3級(機関) | 衛生管理 2級小型船舶 |
一等機関士 | 28 | 日本 | 3級(機関) | ||
二等機関士 | 31 | 日本 | 3級(機関) | ||
操機長 | 59 | 日本 | なし | ||
機関員 | 52 | 日本 | なし | 2級小型船舶 | |
機関員 | 41 | 日本 | なし | ||
機関員 | 44 | キリバス | なし | ||
機関員 | 35 | キリバス | なし | ||
無線部 | 通信長 | 65 | 日本 | 1級(通信) | 1級小型船舶 |
司厨部 | 司厨長 | 46 | 日本 | なし | |
ヘリコプター | パイロット | 35 | 日本 | なし | |
メカニック | 54 | フィリピン | なし | ||
オブザーバー | オブザーバー | 30 | PNG | なし |
漁撈長・無線部・司厨部・ヘリコプター・オブザーバー
年齢:58
国籍:日本
海技免状:3級(航海)
その他の資格:1海特 1級小型船舶
年齢:65
国籍:日本
海技免状:1級(通信)
その他の資格:1級小型船舶
年齢:46
国籍:日本
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:35
国籍:日本
海技免状:なし
その他の資格:なし
メカニック
年齢:54
国籍:フィリピン
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:30
国籍:PNG
海技免状:なし
その他の資格:なし
甲板部
国籍:日本
海技免状:3級(航海)
その他の資格:1海特 1級小型船舶
国籍:日本
海技免状:3級(航海)
その他の資格:1海特 1級小型船舶 3級(電子) ダイビング
国籍:日本
海技免状:3級(航海)
その他の資格:1海特 1級小型船舶
国籍:日本
海技免状:4級(航海)
その他の資格:なし
国籍:日本
海技免状:3級(航海)
その他の資格:3級電子
国籍:日本
海技免状:なし
その他の資格:3海特 1級小型船舶
年齢:25
国籍:日本
海技免状:なし
その他の資格:3海特 1級小型船舶
年齢:34
国籍:インドネシア
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:32
国籍:インドネシア
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:24
国籍:インドネシア
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:24
国籍:インドネシア
海技免状:なし
その他の資格:なし
国籍:キリバス
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:29
国籍:キリバス
海技免状:なし
その他の資格:なし
機関部
国籍:日本
海技免状:3級(機関)
その他の資格:衛生管理 2級小型船舶
国籍:日本
海技免状:3級(機関)
その他の資格:なし
国籍:日本
海技免状:3級(機関)
その他の資格:なし
国籍:日本
海技免状:なし
その他の資格:なし
国籍:日本
海技免状:なし
その他の資格:2級小型船舶
年齢:41
国籍:日本
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:44
国籍:キリバス
海技免状:なし
その他の資格:なし
年齢:35
国籍:キリバス
海技免状:なし
その他の資格:なし